1134 編集システム


とにかく、ソニーサイドは、本体の開発に全力を挙げて欲しい。ひかる側で、フィールド実験は引き受ける。勿論データも上げる、とお互い協力体制を作り上げたのである。
早速ひかるは、タイムコードを使った編集システムの開発とフィールド実験に取り組む。
フイルムは1コマ単位に横に穴が開いている。爪で、1秒間に30枚掻き落とせば、映画になり、テレビでも放送出来る。
しかしVTRには、穴を開けるわけにはいかない。
ワンフレ単位に所番地に当たる数値を入れ、それで制御し、30分の1秒単位で、狂いのないようなコントロールをしなければならないのだ。
当時はまだ、コンピュータすらなく、自作するしかない。
ラックを買い込み、基盤を差し込み、組み上げていくのである。その内、虫(バグ)がうようよ、幽霊の如く現れ、消えていく。
いらいら頭に来、叩き割りたくなったが、スタートさせた以上、逃げる訳にはいかない。

b1135 突貫工事

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また、ハードディスクがあるわけじゃない、2センチ幅くらいの紙テープに穴を開け、それでデータを記憶させる、パンチ式記憶方式だ。
また、VTRを高速巻き戻しをした場合、フレーム単位でピタリと止める。これも至難の業であった。
そしてVTRを再生に2台、収録1台のA、Bロールによる編集システムを突貫工事で作り上げたのである。
ひかるは当時、100人の部下を抱え、ドラマや音楽番組、スポーツやバラエティー、海外ロケから水中撮影、カメラや音響、照明などのスタッフ手配、番組内容把握、目の回る忙しさだが、それと並行して、編集システムの開発だ。
連日連夜、仮眠状態である。
そして編集システムが完成した頃、東宝から連絡があり、昼のメロドラマを日本製1インチVTRで制作し、放送しようとの話が持ち込まれた。

b1133 ソニーと握手

これからがひかるの真骨頂、腕の見せどころである。
オメガ方式は読んで字の如く、テープがヘッドを一回転していない。
勿論、左右のリールに段差、奥行きをつける必要もなく、平坦に出来る。
しかし、三十分テープがかかるからとて、一時間二時間のテープをかけ、早巻き戻しをし、30ぶんの1秒、フレーム単位で、ぴたり止めるのは、どうしてもうまくいかない。
それには、開発の時間がかかると言う事だ。
ひかるはまず、オメガ方式を開発している、ソニーの厚木工場へ飛んだ。
町工場のようなバラック立て、VTRが10台くらい並び、学生かと思われるような卒業したての若手、4、5人の開発者がいた。
「放送業界は今、アルファ方式に傾いているが、それでは絶対駄目だ。
その内、アメリカが、それに勝るVTRを投入、日本はまた、アメリカに利益を吸い上げられ続ける。
だから、どうしてもこのオメガ方式でなければ駄目だ。もし不採用になっても、今後も、開発をずっと続けて欲しい。
願わくば、これから急いで開発を早め、何とか逆転させる方法を考えよう」と、熱く説いたのである。

b1132 乗せ換え

考え方としては、女子社員や、場合によってはアルバイトやパートでも、ライブラリ作業ができるような簡単な方式。
カセット化できることを考えておく必要があるのだ。
さらに重要なのは、収録時の使い方である。
ドラマなどの場合、ロールの都合上、テープの使用途中で、そっくりロール換え、VTRのテープを乗せ換える事が頻繁にある。
この方式だと、そう簡単に乗せ換えが、できないのだ。
ライブラリーに窮し、急ぐ局側の見方と、現場、録画側の見方では大きな隔たりがあったのだ。
しかし、五年先を考えると、録画側の需要がはるかに大きい。
そこでひかるは、違うオメガ(ω)方式に注目した。
テープ面は100%磁気ヘッドに接していないが、字のごとく、交差していないのである。
しかし、アルファ方式がすでに2時間テープがかけられるところまで開発が進んでいるのに、このオメガ方式はまだ30分テープしか使えない。
かなり遅れをとっていたのだ。
業界全体として、8割がたアルファ方式へ傾いているのを、オメガ方式に転換させる必要があるのだ。

b1131 タイムコード

昭和50年当初、放送局は、開局から15年も経っているのに、アメリカアンペックス社製のVTRで独占されていた。
それを何とか国産品、なおかつ、タイムコードを使った電子編集を試みる。
実現できれば、従来の常識や発想転換にとどまらず、革命的な流れの変化を促します。
国産VTRの必要性を一番感じていたのは、放送局のライブラリ部門で、フイルム素材が倉庫にあふれていたのだ。
当然、国内メーカーも、アメリカに対抗すべく、2インチではなく、1インチ幅のVTRを開発していた。
そして、アルファ(α)方式なるものが、8割がた採用される方向で事が進んでいた。
ひかるは、その方式を見た瞬間、これだけは絶対駄目だと直感した。
左右のリールの間に、缶ビール大の長めのVTRヘッドがあるが、そのヘッドをちょうどαの字のごとく、一回転、左右のリールに、前後の段差、奥幅をつけて、斜めに交差してスレーディングさせるという方式である。
まずは将来的に、スレーディングをオートメーション化するのに、非常に難しい。