1090 三歩歩んで立ち止まる

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母子の心さえ通わせられないアルツハイマーの怖さ。
これ程辛くて、寂しい世界があるだろうか・・
母の好物を、思う存分食べさせると、脅えが和らぎ、手を握れるようになりました。
そして、足腰の弱った母を背負い、散歩に出た時、あまりの軽さにつんのめり、三歩歩んで立ち止まる。
ランドセルの重さにしか感じられません。
全ての記憶を失った母に心は通じず、長き別離を償う、無言の歩み・・
南国の陽射に、汗ばむ背中。
涙は止めどなく、踏み出す影へ、七つ・・八つ・・・・
海を見下ろす丘の上、洗剤の如く押し寄せる白いさざ波。
波の足音は、ザザザーサー、ザザザーサーと浸み、身や心、砂浜までも洗い清めて行きます。
はるばる長い旅路を渡って来たのだろうか、風は優しくすれ違い、「風の渡り来る南、生まれ育った島、我が家があるんだぞ、風の行く先、東京があるんだぞ」と語りかけると、心が通じたのだろうか。
 

b1089 母は母

子供の頃、怒られもしました。叩かれもしました。しかし、常に温かく見守る眼差しがあり、愛がありました。
命ある限り、我が身に限って、母の愛が閉ざされるなんて・・
まさかこのような親子の再会になるとは、一度も想像しなかった・・
夢だに、見なかった・・
母の元、一つ屋根の下で生活出来たのは、15歳迄。
人間、いくつになっても、母は母。
もっともっと甘え、お母さん、といっぱい呼んでやりたかったのに・・
話したい事が、背負いきれない程、沢山あるのに・・
母の事を思い出さない日は、一日たりとてなかった。
母とて、一日たりとも忘れなかっただろうに・・・
会える日を、一日千秋の思いで待ち続けた母子。
何んで無情にも、鉄の扉が降りてしまったのだろうか。
子供達との離別生活、会いたい一心が高じ、アルツハイマーになったのだろうか。
待たせ過ぎた!許してくれ・・・
母の為、何一つしてやれなかった、喜ばせてやれなかった悔しさに、懺悔の波は押し寄せ、断腸の思いに、唖然と立ちすくむだけでした。

b1087 恐怖の白衣?

母は晩年、アルツハイマーとなりました。
上京させるべく父を説得するにも、「母の面倒は自分が見る」の一点張り。
やむなく、石垣島の療養施設へ入所させました。
アルツハイマー特有のものなのか、白衣の医者や看護婦、薬を極端に拒んだとの事ですが、東京のひかるの所へ行けるんだ、と言うと、素直に病院や薬も受け入れ、見知らぬ人を捕まえ、東京のひかるの所へ行くんだと、口走っていたとの事。
日増しに容体が悪化している、との連絡に帰郷。
しかし、あれだけ待ち望んだ対面は、まさかと思われる再会となってしまいました。
すでにひかるの面影は、母の記憶の領域に、跡形もなくなっていたのです。
お母さん、帰って来たぞ! ひかるだぞ!と声をかけるにも後ずさりをし、部屋の隅へ逃げ、脅えて睨む、拒否する眼差し。
妖気すら漂う、一度も見た事のない視線でした。
ひかるが帰って来たんだぞ、と近寄れば近寄る程、恐怖の色は、濃くなるばかり。
何んで、息子を怖がるんだ!
何んでこうなってしまったんだ!
辛い時、孤独な時、いつも優しい母を思い出し、例え落ちぶれた姿でも、温かい眼差しで迎え入れてくれる。
どんな時でも、母にだけは信じてもらえる、という心の拠り所があったからこそ、今まで頑張って来れた筈なのに・・・
元気な姿を見せ、喜ぶ顔が見たくて、頑張って来れたのに・・・

b1086 コタツで映画

映写機の爪の噛み具合をニ、三度確認。
3秒前!
2秒前!
1秒前!
スタート、オン!
・・大成功!!
遂に魔法の箱へ辿り着いた。
見果てぬ夢だと思っていたのに・・
熱く込み上げるものがあり、私と同じ映画館に行けない子供達が、テレビで映画を観ることでしょう。
体が不自由な人で、映画館に行かなくても、家で映画が観られる。
病院で療養中の人も・・
お年寄りで映画館に足を運べない人も・・
山間部の人も・・
島の人も・・
この映画を、何百万人もの人が観ているのだろうか。
少しは世の役に立っているのでは・・
夢を追い続けて来た事は、間違いではなかった。
遥か南の島、南十字星を眺め、ランプの灯りで過ごした子供の頃が思い出され、映画が観れなくて悔しかった事。
数々の失敗をし、パスポートを握り締め、親と別れた事。
貧しくて辛かった東京での生活等が、走馬灯の如く通り過ぎ、日本の南端で動き出したこの鼓動、無意味ではなかった。
父よ! 母よ! この世に誕生させてくれて、ありがとう。
生まれて初めて、芯底湧き出る喜びを体験し、涙が出ました。
男泣きです。