m1370 無言電話


タレントや有名人も宿泊、話題となって大繁盛。
そしてテレビの取材が舞い込んだ。
明子は、飛び上がらんばかりに喜んだ。
もしかして、昭二が見てくれるのではないだろうかと考えたのである。
放送後、明子は昭二からの電話を待つが、やはり一度もかかってこなかった。
しかしよく考えると無言電話がかかってくるようになった。
明子はそこで、はっと気がついた。
電話は毎週金曜日夜の8時頃、決まった時間にかかってくる。
その電話は昭二が名乗れずに明子の声を聞くため、かけているのだと思った。
それからの明子は、金曜日になるとそわそわ、丹念に化粧をし、電話の前で正座するのであった。
そして客は、何故か理解出来ないが、この民宿、金曜日8時以降は、酒の無料飲み放題。
明子が、さも楽しそうに踊りまくるのであった。
ちなみに民宿の名前は、極楽とんぼをイメージし、「とんぼ」と名付けた。
毎週金曜日は、お客も入り交じって踊りまくる、極楽とんぼの民宿となった。
昭二は、誰にも身分を明かしていないが、実は大阪で押しも押されぬ、中堅企業の鉄骨屋の社長となっていた。

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