m1332 源一じいさん


源一じいさんは、夫婦で20頭ほどの牛を飼っている。
夏休みに高校生の孫を、島へ呼び寄せる事を1番の楽しみに、セリで牛が売れると、少しずつ貯金をし、指折り数え、待っているのだ。
昨年、じいさんは、思いきって牛舎をトタン屋根で組み上げた。
完成した矢先、9月12日に、30年ぶりと言われる超大型台風が、島を直撃。
じいさんが組み上げたトタン屋根は、みごと飛んでしまった。
がっかりしたが、気をとり直し、飛んでしまったトタン板をリヤカーを引っ張り、拾い集め、木のハンマーで叩き直し、再度組み上げたのである。
道なき原野をリヤカーで回り、トタンを集め、作り上げた牛舎に、みんなが拍手喝采だ。
ところが、1年経った今年9月、また、昨年に続き、超大型台風が、島を直撃。
源一じいさんの作り上げたトタン屋根は、あっけなく吹き飛ばされてしまった。
じいさんは、諦めない。再度リヤカーを引っ張り、トタン板を集め、また木のハンマーで叩く。
80歳の年寄りが一人で屋根に上り、ロープでトタンを釣り上げ、組上げていく。
その執念には、周りもびっくりした。
ところが、ところがである。やっと組み上げた突端、10月6日に、またまた超大型台風が、島を襲ったのである。
当然、あっという間に、またトタン屋根は吹き飛ばされてしまった。
80歳の高齢だ。
周りも声のかけようがない。
手助けを申し入れても、源一じいさんは、決して、頭を縦に振らない。

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