b1140 少年の目

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そして、一番大事な事は、日本のVTRが全世界で認められた事だ。
南端の小さな島で、ランプの灯りで育った少年の目、どこかで垣間見たカセット、いずれ放送現場でも使われるだろう、と10年先を夢に描いたのである。
当時、局の予算執行担当者は年配者で、あの子供のオモチャであるカセット化を局設備に当てはめる事は、100%出来なかったのである。
ひかるがVTR問題で仮眠の連続、死闘を繰り広げていた頃、家計は火の車であった。
食事は殆んど外食、疲れるので、たまには、ビジネスホテルに泊まる事もある。
全てが、会社の伝票で落とせる訳ではなく、小遣いが足りなくなると、女房が、爪に火を灯して蓄えたお金を、むしり盗るように持って行く。
団地住まいで、奥様族は、週に1、2度しか帰って来ないひかるを見、
「あの男、顔に似合わず、やるわね!」
「間違いなく女がいるのよ!」、と井戸端会議だ。
当然、女房の耳にもそれは、届いてしまった。

b1139 世界一高湿度国

やはり雨が降っており、それが原因だが、室内での使用で、なぜ?
その事をソニーへ連絡、しばらくして、原因解明OKの連絡。
湿気でテープのツルツル裏面の貼り付き現象が出ているとの事。
こんな微妙な事でエラーが出ていたのだ。
さすがソニーで、世界中の支店へ打電し調べ上げ、湿度の一番高いのはボルネオとの事。
それ以上の湿度でも稼動するよう設計変更。Hー500は全世界へ輸出されていったのである。
VR3000と並べて使うと、桁違いの性能。これでアメリカ製VTRを駆逐出来た、と。
VTRは平坦な所で、そっと置いて使う精密機械、しかしひかるはトラックの荷台で紐で結え付け移動使用、どんな地震でも稼動する事を求めたのである。
ひかるが立ちはだかったゆえに、オメガ方式へ切り替える事が出来た。
もし、出来なかったらと考えると、オートスレーディング、カセット化は難しく、途中から方式変更、と言う事態になれば、莫大な費用が掛り、番組内容にも影響したであろう。

b1138 超精密NASA技術

当時、可搬型VTRとして、あのNASAが、軍事偵察機用に開発したと言われる、VR3000なる機種が、国内では4,5台導入されていた。
どういう訳か、その機種が、ひかるの会社にあった。
設立時、TBSとフジテレビが折半出資、別々に確保するよりは、資本折半した子会社に持たせ、両局で使用出来る、という事で、導入されたらしい。
当時は、カラーテレビが飛ぶように売れ、家電メーカーは、フィルムCMから、色再現の良い、VCM作りに軸足を移しており、このVR3000が威力を発揮していたのである。
オペレーター一人付で、日だて15万円でも、飛ぶように注文があった。
ひかるは売れれば売れる程、早く可搬型国産機開発の必要性、反米感情が日に日に増していった。
当然、ソニーも可搬型、Hー500という機種を開発しており、フィールドテスト中だが、どうにも訳の分からない回転エラーが出る。チェックをするとOKで、エラーの原因が、全く掴めないのだ。
事故日報をピックアップし、気になる事があったので部下にその日の天候を調べさせた。

b1137 開発に拍車をかけるべし!

今なら書ける。
ソニーと方式問題で画策している時、フジテレビの予算執行、発注出来る立場にある、お偉さんから呼び出しを食った。
「君は、親会社、キー局にタテついて、あらぬ動きをしているようだけど、やめろ!
親会社から、一言いけば、君のクビなんぞ、すぐ飛ぶぞ!」
と、脅しというよりは、脅迫だ。
ひかるは、承知しましたと、そこを出ると、すぐさま「開発に拍車をかけるべし!」とソニーへ電話したのである。
夜は一人でいつもと違う焼き鳥へ行き、じっくり考えた。
業界全体を考えるべき立場の人が、自分のメンツばかり考えやがって、なんてケツの穴のちっちゃい奴だろうと、情けなくなった。
「俺の首を、袈裟掛け、みじん切りにしたとて、一文の得にもならない、やるんならやって見ろ!」と怒りが込み上げて来た。
ひかるは、今まで以上に、意地でもなんとかしてやろう、と固く誓ったのである。

b1136 歓喜の連絡

東宝、フジテレビ、ひかるによる、プロジェクトが始動したのである。
もちろん、バックには、ソニーとひかるの連係プレーがしっかり出来ている。
世界初、1インチ編集システム、1インチVTR帯ドラマの放送が実現したのである。
その間、ひかるの行動は、死闘の二乗と言えるだろう。
昭和54年、1月から放送された、昼メロVTR帯ドラマは、業界に衝撃を与えた。
この昼メロが放送されている頃、ソニーから電話、キー局がオメガ方式の採用を決定、大量の発注があったと、歓喜の連絡が来た。
以後、あっと言う間にオメガ方式に切り変わっていったのである。
それどころか、ソニーは、海外でもその1インチを売りまくり、世界中でこのオメガ方式が、統一方式となったのである。
編集システムを担当させた、ひかるの部下K君は、三越とフジテレビが折半出資、アルタスタジオを設立するとの事で、そこへ移籍させた。今も元気で頑張っているようである。
また、K君は、昼メロのヒロインと結婚。
ひかるは、上司として、大勢の前で主賓挨拶。
しどろもどろで、汗をかき、恥をかいて、大きくなっていったのである。