c1019 街頭テレビ


見果てぬ夢がある限り、命を張って生きてみよう。
いつの日か、我が家で映画が観られる時が来る・・と。
(若い人には、街頭テレビが理解出来ないかと思いますが、50数年前、テレビは超高価で、各家庭にはまだ普及しておらず、大きな駅前に、競馬場の場外モニターの如く設置され、庶民はそれで、テレビを楽しんでいたのです)
ひかる19歳。パスポート持参で、貧しい中での上京。
頼る人とて無く、バイトに夜学。バイトの金が入ると、ラーメンを箱ごと買い込み、コッペパンとの連続。
食べ物さえ確保するのが大変な時期でした。
いつものパン屋へ行った、ある日の出来事。
顔色は浅黒く、頬は痩せこけ、明らかに上京したての田舎顔、手はズボンのポケットへ入れ、十円玉を数え、買えるかどうか思案中。
目は卑しくも、買えるはずのない、美味しそうなケーキの方へ行ってしまいます。
一度でいいから、ケーキを食べてみたい・・
しかし金がない。
空腹、みじめ・・
飢えた目で、周りのパンをキョロキョロ見ている姿、気の毒に思えたのでしょう。
店のおばちゃんが、他の客がいないのを見計らい、紙袋をそっと渡してくれました。
部屋へ帰り開けると、パンの耳でした。
他人様から、始めて貰った食べ物、心からありがたいと感謝したのは言うまでもありません。
早速、コップに水を入れ、パンの耳を浸して食べる。
これで一食分助かった。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック