m1335 ファッションモデル?


初めてではあったが、びっくりするような珍、新味だ。
醤油は使わず、ポテトチップスの塩気と、その上に乗った豆腐をほおばる。
これほどの珍味があるのかと思われる、見事なケーキ。
島の若者たちのアイディア、感性には驚かされた。
真美ちゃんが、この島へ流れ着いたのは、1年前であった。
スタイル、プロポーションは抜群で、目鼻だちも、はっきりしており、ファッションモデルとしても通用する、均整のとれた容姿である。
しかし来た当時、どうみても暗いイメージで、いわくありげというか、幽霊が背中にハビリついているのではないか、今にも、岩から飛び降り自殺をしそうな暗さを持っていた。
それが、1年たった今は、これほど変身できるかと思われるくらいの明るさがとり戻ってきた。
誕生パーティーでも、同年代の島の独身男性が言いよってきても「私はあんたとなんか絶対結婚しないから、あっちへ行け」、と脳天からの高笑い、明るく、軽く、相手に不快感を与えずに、あしらう。
誰もがびっくりするような変身ぶりである。

m1334 ケーキカット


この島にはない料理で、石垣島より、取り寄せたばかりだという。
何か祝い事でもあるのかと聞くと、真美ちゃんの27歳の誕生祝だとのことだ。
しばらくして、真美を席に座らせると、電気が切られ真っ暗闇。入り口から、若者が、タンタータタン、タンタータタンと、出来立てのケーキだ、といって入ってきた。
ろうそくがともされ、バースデーの歌が流れ、真美ちゃんが、ろうそくの火を消すとあかりが点けられ、拍手喝采。
そして、ケーキカットの合図に、大きなスプーンが、真美に渡された。
何と、気がつかなかったが、目の前にあるのは、ケーキではなく、実は、豆腐だったのである。
島に、ケーキがないので、出来立ての豆腐が、ケーキに早変わり。
よく見ると、豆腐の横には、波形のポテトチップスが刺さって、デコレーションされている。立派なケーキに見えるのである。
そして、真美ちゃんは、ポテトチップスに、スプーンで豆腐を乗せ、まず口へ運び、ありがとうと、みんなにお礼をし、そして、次から次と、ポテトチップスに、豆腐を乗せ、みんなに配った。

m1333 牛飼い魂


3度ある事は、4度ない、とまたまたトタン板を拾い集めている。
もうトタン板は、屋根の役をなさない。やめた方が良い、と言ってやりたいところだが、、じいさんは意地なのか、やり遂げる。
来年も台風は来るだろうに・・・
おばあちゃん、決して咎めるでないぞ。
きっと来年の夏休みには、孫が島へ来、おじいちゃんの肩を揉んでくれることだろう。
それにしても、80歳の年で屋根に上り、一人でトタンを引っ張りあげ組み立てていく。牛飼い魂は、見上げたものである。
誰にも真似出来ない事だ。
真美ちゃん
島に昼間は軽食、夜は飲み屋になる小さな店がある。
ヘルパーとして23歳の娘と27歳の真美ちゃんが、昼夜交代で働いている。
真美ちゃんは、ひかるの娘と同じ名前なので、いつも呼び捨てにしかわいがっている。
真美も、ひかるのことを父親の如く、親しくしてくれている。
夕方7時頃、店に行くと島の牧場をやっている青年たちが、5人ほど集まっていた。
隅っこの二人掛けのテーブルに座ると、青年たちが手招きをするので同席すると、何とテーブルには寿司と焼き鳥、串焼きが所狭しと豪勢に並べられている。

m1332 源一じいさん


源一じいさんは、夫婦で20頭ほどの牛を飼っている。
夏休みに高校生の孫を、島へ呼び寄せる事を1番の楽しみに、セリで牛が売れると、少しずつ貯金をし、指折り数え、待っているのだ。
昨年、じいさんは、思いきって牛舎をトタン屋根で組み上げた。
完成した矢先、9月12日に、30年ぶりと言われる超大型台風が、島を直撃。
じいさんが組み上げたトタン屋根は、みごと飛んでしまった。
がっかりしたが、気をとり直し、飛んでしまったトタン板をリヤカーを引っ張り、拾い集め、木のハンマーで叩き直し、再度組み上げたのである。
道なき原野をリヤカーで回り、トタンを集め、作り上げた牛舎に、みんなが拍手喝采だ。
ところが、1年経った今年9月、また、昨年に続き、超大型台風が、島を直撃。
源一じいさんの作り上げたトタン屋根は、あっけなく吹き飛ばされてしまった。
じいさんは、諦めない。再度リヤカーを引っ張り、トタン板を集め、また木のハンマーで叩く。
80歳の年寄りが一人で屋根に上り、ロープでトタンを釣り上げ、組上げていく。
その執念には、周りもびっくりした。
ところが、ところがである。やっと組み上げた突端、10月6日に、またまた超大型台風が、島を襲ったのである。
当然、あっという間に、またトタン屋根は吹き飛ばされてしまった。
80歳の高齢だ。
周りも声のかけようがない。
手助けを申し入れても、源一じいさんは、決して、頭を縦に振らない。

m1331 天空橋


まったく使われていないが、滑走路を思わせる訳の分からないとてつもない長い桟橋がこの黒島には残っている。
周囲12キロ、海抜12メータ、ひらべったい島の規模からすると、昔の人のやることは分からない。
昔の出来事、車や重機もなく、すべて人力。超大型台風なると、風は勿論半端でない波が打ち寄せるが、それにも耐え残っている。
島の古代人のエネルギーはエジプトのピラミットに負けないぞー
橋の先端で夜中、日本の南端、ハートの島、天の川を眺め彦星織り姫に思いを走せ流れ星に願いをかける・・
最高のデートスポットではないだろうか・・
ちなみに作曲家が見ていれば、この場所は明け方、干潮時、波の音もなく虫の音もない、勿論車やエアコン風の音などなく、完璧な無音状態が体験できる場所でもある。
ギターを抱え訪れる大者アーティストがいるが島の人は知らないようだ。