m1319 信頼


塩を撒いたはずの男が、今や心から信頼できる婿として、同居する。
安心した親は、都心の一等地と建物を遺言で、女房に譲って、あの世へ旅立っていったのである。
ひかるは常々女房に言っていた。
お金は、生きるための道具にすぎない。
お金は、幸せになるための小道具にすぎない。
金の亡者となり、金の奴隷と化すべきではない。
貧しくても、心豊かに、優雅に、生きられる方法がある。
と言って、つつましく生きてきたのである。
女房も財産が転がり込んだからとて、ブランド品を買いあさるわけではなし、孫たちの成長をいつくしみ、楽しんでいる。
孫はかわいい、ジジ、ババと、マクドナルドへ行くのが、1番の楽しみのようで、ハンバーグをほおばる横顔を見ていると、毎日が楽しい。
一緒に風呂に入り、ジジ、ババの買ってくれたパジャマだ、と言って、ウルトラマンのパジャマを着、ウルトラマンのパンツを着て、フトンへ潜り込んでくる。
スヤスヤ寝息を立てる横顔を見ると、幸せの極地である。

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