m1315 管理人


有名な銀座の老舗の息子夫婦だとか、新宿の高級クラブのママさんだとか、1応、自他共に金持ちと認じる人ばかりである。
そういう人達から見ると、明らかに若くて、家賃のでない、マンションの管理人をやってる人間なんぞ、見下げた貧乏人に見えたのだろう。
隣人同士のいざこざ、上下階のいざこざ、トイレが詰まっても、管理人の責任だとか、やたらめったら無理難題を押し付けてくる。
下の階からの焼き肉の匂いを、あれは我が家に対するあてつけだ。なんとかしろ、と言ってくる。
とうとう女房が、初めての子を流産してしまった。勿論、住人は流産したことを知っているが、優しい言葉をかけるわけでもない。
貧乏人など子供を作る資格がない、と言わんばかりに輪をかけて自分たちの争い事を管理人に押し付けてくる。
お金があれば、心豊かに周りに温かい目、優しい言葉がかけられるものだと思ったが全く逆だ。
金持ちは、人間としての情が金に奪われてしまうものだ、としみじみ感じた。
その後、妊娠をしたので出る決心をし、アパート生活に戻った。

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