m1311 着のみ着のまま


ひかるの息子は34才、子会社、下請会社を使いこなしバリバリ働いている。
今の時代はどうだのこうだのと、親父に説教するくらいのバリバリ、毎日が充実しているようだ。
軽い男に言い聞かせる気などさらさらないが、つい経験した犬の糞物語を話してやった。
ひかるは高校卒業と同時に、周囲12キロ海抜12メータという、日本の南端の小さな島から、着のみ着のままで上京した。
昼間は必死で働き、夜学の後テレビ界へ就職した。
その時知り合った東京生まれの東京育ち、江戸っ子の彼女と出会うことができた。
結婚の約束をし、相手の親のところへ挨拶に行くと、猛反対だ。
当時、沖縄は日本国ではない。米国統治下で、パスポートを持っており、ましてやひかるの生まれ育った島など、日本の地図には載っていない、
彼女の実家は、代々手広く商売をしており、嘘かまことかは分からないが、皇族にもつながる由緒ある家だと言っていた。
そんな家柄が、ひかるみたいな見た目も格好も、田舎者。ましてや、沖縄となると、反対するのは当然だ。
座布団を投げつけられ、しまいには、塩をまかれるありさまだ。

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